現在近郊里山族(自称)。東京近郊育ち、中学生の時から通勤ラッシュにもまれ、おとながお酒を呑み、呑まれる路地を通学路にしていたせいもあって、都会に対する妄想や憧れが少ないのではないかと思っている。
援助交際や青少年を対象にした事件が社会問題になる以前には、歌舞伎町も渋谷のセンター街や円山町界隈、そのほか東京に点在していた歓楽街は今よりも暗闇のある子供には立ち寄れない雰囲気のある街だったように思う。
だからこそ、そんな街の中にひょいと入り口があったジャズ喫茶やロックバー、綺麗なお姉さんが待ち合わせをするようなカフェ、外国語の話される居酒屋は、まだ未成者にとって異世界を覗くような面白さがあった。
あいにく、知ったかぶりで生意気な娘は、現実から脱線。なぜかそのまま空想と夢想の世界へ突入したまま、憧れだったおとなの街からは遠く離れたところに生息している次第。
東京近郊という、非常に曖昧な場所からは、東京都心で繰り広げられている様々な行為が同時多発的に見えるように感じる。誘われて、行こうと思えばゆけるのに。谷間に留まって静かにしていると、都会で繰り広げらている様々な事象が目に映る。少し遠くでその呼吸を聞いている。
師走には、東京近郊の空が、ことのほか色めき立っているように感じます。