engawa
こどもの視線や息づかいが加わって15年目。
母として、ひとりのひととして、そこに在ることをいかに見出すかによって環境や認識が、自分自身とあなた・それとの在りようが変化する。その在りように、どう向かいあいましょう。 アート&デザイン with サイエンスの日々と活動をお知らせするメモ。 創りたい、みてみたい世界への試行錯誤の追記を再開します。(2023) 暖かい新聞紙の様なノートを縁側に敷きました。旅するみなさま、しばし腰を降ろしていってくださいまし。 このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。 HP:book-tokyo.com 以前の記事
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夢に出てくるような銀色の稲妻が、光る夜。
あまりに激しく落ちるので、慌てて寝た子の様子をみにゆく・・・。微動だにせず眠る姿は森の動物のよう。 夫が週末に「お土産」といってソファに置いていった冊子で拾い読みした文章が頭の中をいっぱいにして離れないので、ひとまず手を休めてスケッチを写す。 「べんぶしてもべんぶしても足りない」のくだりにいつも涙するこの一枚・・・。明日の朝はちゃんと稲穂が見える道から登園しよう。 Kenji Miyazawa 心象スケッチ 春と修羅 第三集 1021 和風は河谷いっぱいに吹く たうたう稲は起きた まったくのいきもの まったくの精巧な機械 稲がそろって起きてゐる 雨のあひだまってゐた穎は いま小さな白い花をひらめかし しづかな飴いろの日だまりの上を 赤いとんぼもすうすう飛ぶ あゝ 南からまた西南から 和風は河谷いっぱいに吹いて 汗にまみれたシャツも乾けば 熱した額やまぶたも冷える あらゆる辛苦の結果から 七月稲はよく分けつし 豊かな秋を示してゐたが この八月のなかばのうちに 十二の赤い朝焼けと 湿度九〇の六日を数へ 茎稈弱く徒長して 穂も出し花もつけながら、 ついに昨日のはげしい雨に 次から次と倒れてしまひ うへには雨のしぶきのなかに とむらふやうなつめたい霧が 倒れた稲を被ってゐた あゝ自然はあんまり意外で そしてあんまり正直だ 百に一つもなからうと思った あんな恐ろしい開花期の雨は もうまっかうからやって来て 力を入れたほどのものを みんなばたばた倒してしまった その代わりには 十に一つも起きれまいと思ってゐたものが わづかな苗のつくり方のちがひや 燐酸のやり方のために 今日はそろってみな起きてゐる 森で埋めた地平線から 青くかゞやく死火山列から 風はいちめん稲田をわたり また栗の葉をかゞやかし いまさわやかな蒸散と 透明な汁液 サップ の移転 あゝわれわれは曠野のなかに 芦とも見えるまで逞ましくさやぐ稲田のなかに 素朴なむかしの神々のやうに べんぶしてもべんぶしても足りない
by book-tokyo
| 2012-09-18 23:49
| 呟き
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